浪曲で伝える「まっ黒なおべんとう」
- 勝千代 木村
- 2020年9月27日
- 読了時間: 2分
絵本「まっ黒なおべんとう」(児玉辰春作)に心を動かされ、今から7年前に
浪曲化させていただきました。口演を始めて、今年で7年目になります。
広島であったその実話を伝えたいと絵本にされた児玉辰春先生。その児玉辰春先生も、
昨年お亡くなりになり、絵本からバトンをいただいた私は、これからも伝えていきたいと
思いを胸に口演させていただいております。
この浪曲は、2016年にNHK「おはよう日本」で取り上げていただき、
「原爆伝える浪曲師」としてご紹介いただき、毎年、夏には必ず口演させていただきます。また、修学旅行に行く高校生に向けても口演させていただいております。
今年は、コロナ禍で修学旅行も危ぶまれる中、また、気持ちもしぼみがちな時に、
この浪曲を聞いていただく事、「果たして辛い気持ちになりすぎないか...」
と内心悩んでおりました。ところが、蓋を開けてみれば、そんな気持ちは吹っ飛びました。まず、「浪曲って何だろう?」初めて観るこの演芸に興味深々の様子。
生の三味線、生の声、目の前で繰り広げられる話の展開に、「まるで目の前に人がいるようだった」と、登場人物の演じ分けに目を見張り、三味線の音に乗せてリズミカルに語られる
節による話の進行に「楽しさ」さえ感じてくれていました。そして、いつの間にか登場人物に感情移入し、節による感情表現に「思わず涙がこぼれそうになった」と、「感動した」
「また聴きたい」「いい時間だった」との感想をいただきました。
口演させていただいて良かった…。今年は何よりコロナによる自粛生活で、自分の日常が制限されてきた中、失われてはいけない日常の大切さを日々実感していたのでしょう。
「当たり前の日常の大切さがわかった」という多くの言葉がありました。この浪曲を聞いている時間は「まるでその時代にいるようだった」ともあり、様々なことを忘れて、心を自由に過ごしていてくれたのかなと思いました。そして、「一日一日を大切に過ごしていきたい」「命を大切にしていきたい」という感想に、心折れそうになる日々にも、前向きに過ごしていってほしいなと思うと同時に、その心映えに、わたくしも励まされました。そして、これからも、多くの方に聴いていただきたいという思いを強くしました。

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